事務所とアーティストの関係はこうありたいという話

いきなりですが。
マネジジメントの仕事をしていると、
“事務所はアーティストに投資をして育成すべきだ。”
そう考えている人って意外に結構多いんだなと思うことがよくあるんですよね。

「上手くいくかわからなくとも何年も時間やお金を掛けて育てていくのが事務所の仕事だ」的な…。

いや、別に間違っていると言いたい訳ではないんですよ。
むしろ、考え方としては素敵ですよね。
それができる環境であればやっていますというのが正直なところかもしれないです。

ただ、こういう考え方は、『今の時代にそぐわない』というのが現実だと思うんです。時代が変われば考え方ややり方というのは、自然と変わってきますからね。
では、今の時代に沿った事務所とアーティストとの関係はどうあるべきなんでしょう?
今日は、その点について弊社の考え方を書いていきたいと思います。

 

音楽が売れない時代

‘90年代~2000年くらいまでは、音楽はすごく売れる時代でしたよね。
CDのミリオンセラー(100万枚)なんて言葉も日常茶飯事的に耳にする様な状況だったと思います。
エミネムの2ndアルバムは、1700万枚くらい、メタリカの「ブラックアルバム」なんて5000万枚くらい売れてたんじゃないかな。国内でも一人アーティストをヒットさせれば数億円のビルが建つ様な感じでしたね。

でも、みなさんご存知の通り現在は、
『音楽が全然売れない時代』
なんですよね。
1枚2000~3000円のCDアルバムが数10万枚とかではなくて、1曲100円~300円の音楽配信曲が10万ダウンロードくらいされたらヒット扱いになるんです。
ゼロが一つ違いますよね。

CDを買うというのが一つの文化、生活に浸透していた時代から、音楽共有サービスや動画配信サービスで音楽を無料で聴くのがスタンダードという風に時代は遷り変わってきたんですよね。
つまり、昔と今では、音楽市場規模が全く違う。ということなんですね。

 

事務所の運営スタンス

では、音楽市場が縮小している今、マネジメント事務所はどんな運営スタンスをスタンダードにしているのでしょう?

まず、趣味やボランティア活動として音楽に携わっているならまだしも、ビジネスとして音楽に携わるのであれば、たくさんのお金と時間を掛けてアーティストを育成していくというのは、時代にそぐわないやり方になっています。

はっきり言うとですね。

「時間とお金を掛けても見込める売上が少ないのでビジネスとしてほぼ成立しない」

ということなんです。
事務所というのは、ただの会社であくまでビジネスとして経営・運営してますからね。
ハイリスクハイリターンならまだしも、ハイリスクローリターンな事を敢えてやる必要はないんですよね。

ただ、事務所側が企画から主導していく「ダンス&ボーカルユニット企画」や「アイドルグループ企画」などの‘企画もの’であれば、事務所はスポンサーを募り、予算を集めるところから始めますので、その場合は時間とお金を掛けることもあります。

逆に、アーティスト・ミュージシャンの様に本人が主導する本人が軸となる作品の場合は、事務所側がスポンサーを募るということはまずありませんので、アーティスト・ミュージシャンたちは『自己投資』をしていく必要があるんですよね。

まぁ、バンドマンなんかはいつの時代も売れないときは借金だらけだったりするので、『自己投資』は当たり前だったりするんですけどね。

まとめるとですね。
事務所はあくまでビジネスとして運営しているという訳なので、より売れそうなビジネスとして成立しそうな人材にだけ力を注ぐんです。
更に言えば、「私は売れますよ」というのを結果で示してくれた人のみに力を注ぐんです。

一目見ただけで
少し歌を聴いただけで
やる気を口にしただけで
ちょっとしたファンがいるだけで

「この子に人生を掛けて売っていこう。」

という事務所さんはありませんよね。
これが、事務所の運営スタンスとしての客観的事実じゃないかと思います。

 

音楽活動は一人でできる

ここで、一つの疑問を感じた人もいるのではないでしょうか。

「あれっ?事務所って必要?」

事務所はスポンサーではないのでアーティスト・ミュージシャンに先行投資なんかはほとんどしない。
予算を掛けてくれないのであれば自分でつくらなければならない。
自分だけならまだしもスタッフ人件費も稼がなければいけないのか。
であれば、事務所に所属する必要はないんじゃないか!?

はい。おっしゃる通りです。
ここからは私の個人的な意見ですが、今の時代、事務所はあってもなくてもいいと思います。

というのは、昔はプロモーションの手段というのが少なく、TV・ラジオ・雑誌というメディアがプロモーションの主たるものでした。
そして、知名度・認知度を上げる為にメディア出演する為には、どうしてもマネジメント事務所の力が必要だったんですよね。
ですので、知名度・認知度を上げて売れたいのであれば、事務所所属というのが必須だったりしたんです。

でも今は違います。
Twitter・InstagramをはじめとしたSNS、Youtube・LINEライブ・ShowRoom等の動画配信ツール、i-tunes・GooglePlay・レコチョク等の音楽配信サービス、ブログ・Facebook等のオウンドメディア…。

とにかくですね。
商品・作品を発信するための手段・方法はいくらでもあるんですよね。
曲もDTMで簡単につくれれば、REC、音楽配信、CDリリース、グッズ制作なんかも気軽にできます。やろうと思えば自分で全部できてしまうんですよね。

つまり、音楽を仕事にするために、『事務所所属』は必須でもなんでもないと思うんですよ。
自分でできることをあえて他人に任せる必要もないですし、不安だからと言って誰かに寄りかかる必要もないんです。
できることは自分でやっちゃえばいいじゃん。
というのが私の意見ですね。

 

マネジメントの役割とは?

では、音楽活動にマネジメントスタッフをつける必要性・その役割とはなんなのか?
について書いていきたいと思います。

前述した通り、マネジメント事務所はあってもなくてもいいというのが前提ですが、あえて所属するというのであれば、その違いは、『スピード感』であると思います。

というのは、『マネジメント』という仕事が、「魅力を引き出す」という一つの概念に基づき行われるというのがポイントになります。
話は少しずれますが、‘才能’というのは誰しもが持っているものですが、同時に誰しもが眠らせているものだと思います。その眠っている才能を自分で引き出すことができる人もいれば、他人にきっかけを作ってもらい引き出す人もいます。

もちろん本人が磨くこと、磨き続けることをしなければ一生眠ったままの才能になってしまいますけどね。
音楽で言うマネジメントとは、

「アーティスト・ミュージシャンが本来もっている筈の才能を、なんとか探し見つけ、引き出すためのきっかけを与え続ける。」

これが主たる仕事だと思うんです。
勿論、製作ディレクションや宣伝活動というのも仕事ではありますが、メインではないという事ですね。

あくまで、魅力を引き出せるかどうかがマネジメントとしての勝負となりますので、その為に甘えた考えを持った人であれば張り切って叱咤しますし、前向きに活動しない人であればスルーしますし、結果を見せつけてくれる人であれば全力で売りにいきます。
これが、弊社の考えるマネジメントとしての役割です。
これにより売れるスピードが上がると考えるのであれば、マネジメント事務所を探してみたらどうでしょうか。

ちなみに、うちの場合ですが、
無償でマネジメントするのか?
と聞かれたら、答えは、「しません。」です。
結果をだせる人にのみ力を注ぎますね。

 

事務所とアーティストの関係

結論を書きますね。

「音楽をビジネスとしてやっていく。それを目的として、良い意味で互いに利用し合える関係でいたい。」

弊社の場合は、そう考えています。
このアーティストは売れるだろうと思って本人に任せっぱなし。
事務所に所属さえしていればなんとかしてくれると思っておんぶに抱っこ。
もし、お互いがこんな考えを元にタッグを組んだらどうでしょう?
とてもイケてないチームですよね。

全国大会出場という目標を掲げたなら、コーチはコーチ、選手は選手、やるべきことはそれぞれがやっていかないといい結果は生まれないですよね。
コーチの知識やノウハウをどんどん自分のものにしていく努力(利用していくという気概)がなければ、コーチを雇う意味はないですよね。
意味のある環境にするか、意味のない環境にするかは、全て本人の思考が作るものだと思います。
‘とりあえず’や‘なんとなく’で成せる目標はないですよね。
明確な目標・目的を持って、常に自分にとっての正しい選択をしていってもらいたいなと思いますね。

 

~終わり~